県連副会長 中礒和子
平成28年8月25日26日の二日間、千葉県幕張メッセにて、第66回全国高等学校PTA連合会大会千葉大会が開催されました。全国より約1万人の会員が一同に集い、山口県からは110名の参加がありました。
大会一日目、朝から強い日差しの中、駐車場に始まり会場周辺の案内に立つ大会スタッフの気持ちの良いあいさつに迎えられての会場入り。席についた早々にアトラクションとして出迎えてくれたのは、全国各種大会で常に上位入賞を果たす、習志野市立習志野高等学校吹奏楽部の「習高サウンド」。全国トップクラスの高校生の熱気溢れる素晴らしい演奏に迎えられ会場が感動で一つになり、この後の大会がきっと有意義なものになると予感させられる始まりとなりました。
開会式は、8月に就任したばかりの松野博一文部科学大臣をはじめ森田健作県知事、熊谷俊人市長と多くのご来賓の方々のご列席の元、開会されました。
大会テーマは、「再発見!愛」〜今こそ信じよう愛の絆〜、本大会が愛を再発見するきっかけとなり、「学校」「家族」「地域社会」のつながりを深め「愛の絆」を確かなものとし、子どもたちの健やかな成長につなげていきたい。と実行委員長より歓迎のあいさつがあり、その後の表彰式では、全国高P連会長表彰(個人)を白木美和顧問、上村真一顧問、藤井美保子顧問(3名とも前県連副会長)が受賞され、全国高P連会長表彰(団体)を岩国工業高等学校PTA、山口中央高等学校PTAが受賞されました。受賞された個人、団体のみなさんおめでとうございます。
以上の開会式を終え、引き続き同会場にて基調講演です。講演者は千葉敬愛短期大学学長 明石要一氏、テーマは、高校生の自立を支援するPTA活動の在り方〜今こそ信じよう高校生を〜。教育者ということでどんなお堅いお話かと身構えていると、「まずはじめに、じゃんけんのグー出してください」と始まる。このグーの形、男性はほとんどが親指外側グーですが、女性は親指外側、親指が中に入る、親指が横と3通りに分かれるそうです。そして性格もわかると言われます。親指外側は負けず嫌い。地域のリーダーやPTA会長になりやすい。この会場にいる人はこのタイプが多いのではないでしょうか。その逆が親指中に入れる。良妻賢母、上品で気品がある。細かい作業が得意なので広報委員に向いている。最後に親指横の人は、知的能力が高い、頭が柔らかくアンテナが高く情報キャッチが上手い。3人が力を合わせるとPTAも面白い。根拠はなくあくまで統計です。とのこと。山口県席に座る女性の出したグーを見ると10人中9人が親指外側。思わずみんなで目を合わせ納得してしまう。こんな感じに少し早口で飾らない言葉で、今の子どもたちの現状と今後の家庭教育や社会において必要なことを語られていく。時代が変わり、子どもが変わり、親が変わり、地域が変わる様々な変化の中で、大切なものは「二つの風と一つの色」家の風で家風。二つ目は学校の校風。そして、地域のカラーである地域色。この家庭・学校・地域、三位一体となって高校生を育てる環境を整えていくことが今後のPTAの課題だとお話いただきました。
そして昼食は、千葉県立佐倉東高等学校調理国際科の生徒が作成協力した地元食材をふんだんに使った大会弁当。ピーナッツ(落花生)の国内産の約8割が千葉県産で、千葉っ子なら知っていて当然という千葉県学校給食ではお馴染みのみそピーナッツも一品としていただきました。
午後からは、7つの会場に分かれての分科会です。「学校教育とPTA」「進路指導とPTA」「家庭教育とPTA」「学校の危機管理とPTA」など、それぞれのテーマにて事例発表や研究討議、基調講演、パネルディスカッションなどが行われ、熱く議論が交わされました。後の報告会の中で、子どもには教えるのではなく、気づきを与えるコーチングが大切という言葉が印象に残りました。
朝から盛りだくさんの一日目の日程を終えた後は、品川プリンスホテルにて山口県教育懇談会でした。過去最多の参加人数ということで、山口県高P連の結束が窺えます。全国大会や中四国大会では、講演会や事例発表などで知識を高めることも大会参加の目的の一つではありますが、懇談会などで、他校の会長さんや役員さん先生方とのコミュニケーションを通じ、情報や意識の共有などを図ることも意義のあることだと思います。今後もこういった機会をご利用していただければ幸いです。
さて、大会二日目は本大会のメイン、千葉県出身 女優 市原悦子さんの記念公演、演題は「私の選んだ女優の道」。客席をゆっくり歩いて手を振りながら登場。その愛らしい姿を観るだけで会場が微笑ましく温かくなっていくのを感じました。少し息を切らしステージに上がり最初に発した言葉は「うふふ!」このたった一言で会場全体が笑顔に包まれる。さすがベテランの女優さん、間の取り方が絶妙にお上手です。その後も穏やかな口調で小学校、中学校でのエピソードや女優を目指したきっかけなどをお話いただきました。そして朗読を一本。グリム童話「ねずの木の話」、「おかあさんがぼくをころして、おとうさんがぼくをたべた、いもうとはぼくのほねをひろってねずのきのしたにおいた……キヴィット、キヴィット!」とても残酷なお話。先ほどの温かかった会場は、ピンと空気が張りつめる。市原悦子さんのお話の中に多くの人が入り込んでいくのが空気を通じて感じとれる。その後、日本昔ばなしの裏話など楽しくお話いただいた後、二本目の朗読は、火垂るの墓の著者、野坂昭如さんの「凧になったお母さん」戦争の最中、戦火に巻き込まれ、我が子を助けるために自らを盾に懸命に守り、最後は空に舞ったお母さんの切なく悲しく恐怖さえ感じるお話。以上で公演終了。市原悦子さんってすごい女優さんだな。っていう感想と、なぜこの1万人の観衆の公演で残酷なグリム童話や戦争童話を朗読したのか疑問がわきました。連日のように起こる子どもたちの悲しい事故や事件。この夏、子どもの虐待死0歳が過去最多というニュースも目にしました。公演の中の二本の朗読は今の社会に対して、市原悦子さんからの警鐘であり、今後私たち大人がどう行動するのか何をしなければならないのか、宿題を受け取ったような気がすると共に、この公演は、自らが気づき考えさせられる市原悦子流のコーチングだったように思いました。「おかあさんがぼくをころして、おとうさんが……」今もなお、あの一節が深く胸に刻まれています。
とても有意義だった二日間、参加されたみなさん大変おつかれさまでした。様々な情報や感動を共有し、また山口県の子どもたちを応援する活動に活かしていきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。