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第67回全国高等学校PTA連合会大会静岡大会報告

県連副会長 河村 聡子

 第67回全国高等学校PTA連合会大会静岡大会が、平成29年8月24日・25日の2日間、静岡県袋井市にある小笠山総合運動公園エコパのエコパアリーナをメイン会場に、全国から約9400人もの参加者を迎え開催されました。2日間とも晴天に恵まれ、日差しの強い中バスの車窓からかすかに見える富士山に見送られながらホテルを後にし会場へと向かいました。

 開会式には、8月3日に就任されたばかりの林芳正文部科学大臣をはじめ、多くのご来賓の方々が出席されていました。

 表彰式では、優良PTA文部科学大臣表彰を西京高等学校PTAが、全国高等学校PTA連合会会長表彰(個人)を一柳大志、中礒和子前県連副会長のお二人が受賞され、同賞の団体部門で熊毛北高等学校PTAと萩高等学校PTAの2校が受賞されました。受賞された個人・団体の皆さん、本当におめでとうございました。

 今大会のメインテーマは「有徳の人」づくり、サブテーマは〜未来のために行動する「一人」を育てよう〜で、「有徳の人」とは、個人として自立した人、人との関わり合いを大切にする人、より良い社会づくりに参画し行動する人を意味し、例えるなら『独立して頂き高く美しくそびえ、社会の中に豊かなすそ野を広げていく「富士山」のような人』のことだそうです。

 開会式後の基調講演では、静岡県出身で静岡大学名誉教授の小和田哲男氏が「戦国武将に学ぶ子育てと人づくり」と題して、戦国時代の勝ち組の武将たちが、どう子育てをしていたのか、どのように人づくりをしていたのかを時代背景を交えて講演されました。小和田先生はNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」等の時代考証を担当されていて、戦国時代史の第一人者として知られる歴史学者です。

 戦国時代にはまだ寺小屋ではなく、ある程度地位のある武士の子どもはお寺が教育や修行の場で、教育熱心な農民の子どもは旅のお坊さんにお願いして、宿泊していただくかわりに読み書きなどを教えてもらっていたそうです。昔の和歌の中に「一子出家すれば九族天に昇す」と記されており、親から子へ、またその子から孫への教育として「武辺咄(ぶへんばなし)」というものが盛んに行われていて自分の経験談をよく話し聞かせていて、これが後の学校教育へとつながっているとのことでした。「一度、大敗北を喫した者でなければ名将にはなれない」と言った武将もいたそうで、我が子にも家来にも成功した例でも失敗した例でも、適材適所の教えを書き残し、しっかり伝え、才能をうまく見出していたということです。

 徳川家康は、1572年、三方ヶ原(静岡県浜松市浜名湖東方に広がる洪積台地)で武田信玄に負けたことから、「負けた経験がその後の人生をつくる」と悟り、二代目将軍となる秀忠を支える家臣の教育にも力を入れたそうです。エピソードとして、家康が家臣に誰をどの部署につけたら良いか聞いたところ、その家臣が自分の好き嫌いで人選したので、「ややもすれば、己が好みに惹かれ人の好みを悲観せん」と一喝し、自分の好みの人ばかりではなく部下の長所を見出せと命じたそうです。家康は「家臣こそ宝」と人材抜擢にも力を注いだと小和田先生はお話しされました。

 褒め方・叱り方一つをとってもこつがあります。子どもの才能をどう見出し、どう掘り起こすのか、そしてその才能をどのようにして伸ばしていくのか。私たち親も、もう一度しっかり見つめ直す必要がありそうです。

 午後からは、7会場に分かれての分科会があり、各会場メインテーマの「有徳の人」を育てるためにしている活動について発表やディスカッションが行われました。私は第4分科会の家庭教育とPTA〜「有徳の人」を育てる家庭教育の充実〜の事例発表と研究協議に参加しました。助言者の石田純夫先生は、「最近の子は反抗期を経験していない子が多く不安な感情にふたをして周りに合わせているので、親自ら自分の人生をエンジョイする。そして子どもたちには本当に今、やりたいことをやらせてあげて、子どもたちが本当の姿でいられるスペースを家庭で与えてあげる。それぞれの子どもたちのペースに合わせて大人はいてあげれば良い。主役は子どもたちです。」と助言されました。

 大会2日目は記念講演として静岡県浜松市出身の俳優 筧利夫さんが、「これがオレの生きザマだ!」と題して、司会者との掛け合い型式のトークショーをされました。幼少の頃からとてもやんちゃだったらしく、小学生の頃、実家の隣にあった女子校のグラウンドに2階の自分の部屋から「お姉さーん」と叫びながらロケット花火を打ち込んだことがあるといったエピソードをたくさん話されました。4人兄弟の末っ子で、上の3人と年もうんと離れていたため一人っ子のような感じで大きくなり、ご両親には怒られた記憶はなく、もっぱら筧さんの教育係は2番目のお兄さんだったそうです。「自分は後悔するのが嫌なので、やりたいと思ったことはやってきた。やりたいことを残したらダメ。」と熱弁され、最後に一言「子どもたちはみんな何かを考えているはず。親子関係を築くためにも絶対にラインは盗み見しないであげてくださいね。」と言われ、講演は終了しました。今の子どもたちは「大人だなぁ」と思っていたら考えられないほどの幼稚な事をしたり、「まだまだ子どもだなぁ」と思っていると妙に落ち着いていたりと我が子のことでもなかなかわからないことがたくさんあります。だからこそ私たち親は子どもたちが本当の自分でいられる場所、戻ってこられる場所を作ってあげなければなりません。私たち自身親として家庭力の向上、大人としての人間力の向上に向けて、まだまだ学ぶべきことがありそうです。

 また新たな気持ちで子どもたちと向き合い、そして応援していきたいと思います。参加者の皆さん、とても充実し有意義だった2日間たいへんお疲れさまでした。ありがとうございました。

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